ホーホーの羽根
裏山を散歩していたら拾った。
どうやらフクロウの羽根だ。
北鎌倉の山の上に家を建てたのは、
僕にとっては、坂を登るとそこから
広大な峰が続いていて、直ぐに自然に
お邪魔する事が出来るという理由が大きい。
その森の入り口に、夕暮れに時々、
「ホー、ホー、ホーホホッホ」という鳴き声を
聞くようになった。
妻や娘を連れてよく探しに行ったものだ。
森の主はなかなか姿は現さない。
ある日、家で夕食を食べていると、
ベランダの向こうの電信柱のてっぺんに
彼が堂々と止まっているのが見えた。
鳥好きの私が一人興奮し、家族に
「落ち着け落ち着け」とバタバタして
双眼鏡を探し、やっとの事でカーテン
越しに観察出来た。
妻も子供達も楽しそうに見ていた。
まぎれもない大きなフクロウだった。
暫くすると、大きな羽根を広げて遠くの山に
飛んで行った。
僕の胸は高鳴り、とても嬉しかった。
一番逢いたい鳥だったから。
下の娘はそれから、夕食になると、
「ホーホー来るかなあ?」と言うようになった。
「ホーホー来るといいね。」そう言うと、
家族四人は暫く静かに耳をすますのです。