練習曲 嬰ニ短調（スクリャービン）
演奏家は楽譜から作曲家の言いたかった事を考え、
どんな人だったか、色々と思いを馳せるのでしょう。
僕はこの曲をホロヴィッツの演奏で好きになりました。
彼は体調を崩し、長い間ステージから離れていましたが、
復帰してからの舞台で、この曲を弾いています。
何回聴いても、その度に椅子から立ち上がりたくなる
ような、素晴らしい演奏です。
ホロヴィッツは１１歳の時に晩年のスクリャービン
に会い、大きな啓示を受けたといいます。
この時スクリャービンは既に４０を超え、亡くなる
直前でした。少年ホロヴィッツが自分の曲を演奏する
ところをどれ位聴くことが出来たのでしょう？
ホロヴィッツはきっと、この曲を弾く時、スクリャービン
に話しかけているのだと思う。
楽譜は作曲家からの手紙であり、
気持ちを込めた演奏は返事となる。
