気ままな音楽猫がゆく♪

ジャズ、演奏、作曲、自然、家族、ライフスタイル♪

プレリュードとフーガ イ短調

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リストがバッハに敬意を表してオルガン曲であったこの曲を一音も変えずに編曲しました。

バッハについてよく言われるのは、当時の楽器は今と違い(古楽器と言われるもの)、ピアノも主流ではなく、チェンバロだとか、オルガンでした。楽器が違えば当然表現も変わってくるので、バッハを弾くなら古楽器で弾かなくてはいけない、何ていう人もいるのです。

私も5年ほど前、この曲を演奏しました。当時は先生に習っていたのですが、バッハの曲をどのように弾いたらいいか分からず、悩んでしまい、その答えを探しに、ドイツを1週間程旅しました。

アイゼナッハ~ライプチィヒという、バッハゆかりの地(教会)を巡る旅でしたが、もちろんそう簡単に答えが見つかる訳もなく、一人旅だったこともあり、正直疲れきっていました。

 

移動中の電車内では、みんなドイツ語での会話。全く何を話しているか分からないし、頭が混乱して、隣のボックス席の静かな車両に移りました。

その時です。

ボックス席に向かい合って座っている4人の外国の方が、楽しげに話しているのを見ました。彼らの傍らには自転車が折りたたんであり、ツーリングの旅だというのが分かりました。
彼らが何を話していたのか、不思議とよく分かりました。会話が頭の中に聞こえてきたのです。「風が気持ちよかったねえ」とか、「もっとスピード出そうよ」とかそんな感じです。

でも、よく見ると、誰一人として声を出していません。

 

聾唖の方達でした。手話を使って、楽しげに話していたんです。

図らずも私はその時、泣いてしまいました。
「ああ、本当に大切なのは手段じゃないんだ」ということを実感したんです。

この体験は、今でも私の中の宝物です。

人前で演奏することが増えましたが、忘れがちなこと。
ピアノに向かい、第一音を出す時、何を弾きたいのか、本当はいつも問われているんですね。